聞き屋のたぬ吉

相席をした彼の名は悲しみ

月曜日に殺される

会社をずる休みした

 

理由はよくわからない、月曜の朝は、よくあること

 

テレビの向こう側に映るのは

 

山間に爆発したように咲き乱れる、桜の群

 

仕事になんか行ってられない

 

あの場所に行こうと思った

 

 

 

 

山手線で乗り換えて、滑るように、千代田線

 

半年前まで住んでいた足立区へ

 

 

 

北千住の駅前に降り立てば

 

足早に向かう、通い慣れた道

 

 

 

パチンコ店の大仰なマイク音が

 

ドアが開くたび、耳を劈くように漏れ聞こえる

 

 

 

二階には去年閉店した大箱の喫茶室

 

いつの間にか名前の違うカフェになっていた

 

居抜きで入ったらしい

 

帰りに寄ることにする

 

 

 

千住の街並みは野趣がある

 

商店街をすり抜ければ、そこは古色蒼然の佇まい

 

 

 

三毛猫がブロック塀の上であくびをした

 

こちらもつられる

 

 

 

近づいて毛並みを撫でようと手を伸ばせば

 

にべもなく、民家の庭先へと消えて行った

 

猫はそうこなくちゃ

 

 

 

 

日差しが強い

 

日焼け止めを塗ってきたから、まぁ平気

 

 

 

高架下をくぐると見えてくる、土手の階段

 

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駆け上がると、牧歌的なパノラマの景色が広がった

 


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春の息吹を感じる草木

 

高速道路を流れる車の群れ

 

風を切って走るモーターボート

 

水彩画のような優しい青空

 
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荒川の河川敷は、独特のカタルシスがある

 

鬱屈とした気持ちを、川が遠くへ流してくれるのだ

 

土手の斜面に寝そべったら

 

なんで生きてるんだろうとか、いろいろ考えた

 

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そういえば、なんで働いてるんだっけ

 

生活ってなんだ

 

会社に行く理由がいよいよわからない

 

 

 

 

 

資本主義が嫌いだ

 

頑張らなきゃいけないシステムだから

 

僕は、頑張れない

 

搾取する側、される側

 

一億総活躍社会

 

冗談じゃない

 

 

 

 

 

そもそも社会って何だ

 

馬鹿なオイラにも分かるように

 

社会ってやつを教えてくれ

 

 

 

 

 

わかった、多分、あれだ

 

昨日、駅の改札近くで見た、あの光景

 

エスカレーターの右側で動かない老人と

 

左に寄れよと言いたげに睨みつけ、追い越す男

 

あの男の訝しげな目つき

 

あれが社会だ

 

僕はきっと、動かない老人で

 

流れに棹さす彼こそが社会なのだ

 

(amazarashi「月曜日」2018年)