聞き屋のたぬ吉

相席をした彼の名は悲しみ

センスの悪い質問

数日前、あるネットニュースで「20代の外出、70代を下回る」という見出しが踊っていました。内容は20歳~79歳までを対象にした行動意識調査で、通勤、買い物、外食、娯楽、通院など18項目について一ヶ月の外出頻度をリサーチしたものです。

注目は見出しのとおり、70代の平均外出回数40.8回に比べて、20代の平均外出回数は37.3回と大幅に下回ったという意外(?)な調査結果。他にも「自分はどちらかと言えば引きこもりか?」という質問に対して、「まあ思う」を合わせると20代は62%、30代も50%を超えたという結果が出ていました。

個人的にこの手のニュースは食傷気味で、たいていが「スマホ依存」や「○○離れ」といった若者に対するディスリスペクト一辺倒なものばかり。なんとなく予想していたけど、案の定諸悪の根源はスマホと言わんばかりの分析で、なるほどなぁと思うような目新しさはどこにもありませんでした。

全体を読んでとりわけ目が細くなったのが、文中にたびたび使われている「引きこもり」というワード。そのほとんどに「」がついて、これでもかと言った具合に強調されている。本来は休日を自宅で過ごすこと自体何の問題もないはずなのに、この言葉を使うことで、それがまるで悪いことのようなニュアンスで伝わってきてしまいがちです。

ディメンションで見ると「引きこもり」の自認率は年配者ほど低く、「引きこもるのは良くないこと」という認識が強いことがわかりました。

 

そもそも引きこもりの定義を辞書で引くと、「長期間にわたり自宅や自室にこもり、社会的な活動に参加しない状態が続くこと」とあって、先の質問も拡大解釈して使われていることがうかがえます。もっとマイルドな言葉や表現で質問すればいいものを、あえて「引きこもり」を使ってくるあたり、若干の悪意を感じずにいられません。

自分は物事の呼び方で、ネガティブな要素が入るものはあまり好んで使わない傾向にあります。直感であまりいい言葉ではないと感じたものは、どんなに流行っていてもスルーします。ここ数年で使われるようになった言葉でもたくさんあって、勝ち組、負け組、KY、マイルドヤンキーなど枚挙にいとまがありません。

 

それらとは逆に、印象が良くなるように言い換えた言葉は積極的に取り入れるようにしています。

最近もYouTubeでたまたま30年くらい前のTV番組を見ていたとき、俳優の演技力についてユーミンがこんな見解を述べていました。

「例えばキスシーンとか、台本があるじゃないですか。それを撮影現場と私生活で分けているというのが信じられない。混同しないのかなって。でも、まったく分けていないとなると、それはそれで頭が不自由なんじゃないかと思う」

この「頭が不自由」という表現には舌を巻きました。おそらくバカとか頭が悪いということの言い換えなんだけど、直接的でなく、かといって遠回しすぎず、ちゃんとオブラートに包まれている。ネガティブなことなのに、「それを聞いて傷つく人が最小限に抑えられる言い方」になっているあたり、実に言い得て妙です。こうした言葉が日常でインスタントに使えるように、自分も表現力を磨きたいものです。

 

「引きこもりだと思いますか?」という質問はやっぱりセンスが悪いので、このさい「自宅警備されてますか?」に言い換えてみてはどうでしょうか。きっと上記と異なる数値が出るような気がします。(わりと真面目に提案)