聞き屋のたぬ吉

矛盾の総和が人生だ

書評

【綿矢りさ】対極の同性愛「生のみ生のままで」

僕は書評が苦手だ。書評が苦手というよりも、何かを評するという行為そのものが苦手だ。それは要点をうまくまとめ上げ、かつ読み手にその対象に興味を持ってもらえるよう誘導するのが極端に下手ということでもある。 そもそも文章を書くこと自体嫌いじゃない…

【今村夏子】「こちらあみ子」の世界観と、認識しない力強さ

八月の十日を過ぎたあたりから、日中の空気がガラリと変わった。正確には季節の変わり目と言えるくらい、温度とか湿度が一気に変化した。こんなに早く秋の気配を感じたのははじめてかもしれない。 例年にくらべると、自分にとって今年の夏は出かける頻度が高…

読書とか音楽、最近のこと

GW中に円城塔の「文字渦」(川端康成文学賞・日本SF大賞受賞作)が読みたくて本屋さんまで行ったはいいけど、値段を見て買うのをやめた。めちゃくちゃ面白そうだけど二千円は出せない……。仕方なく図書館で予約したら10人待ちだった。順番が回ってくるまでた…

「書かない」という描き方

高山羽根子の小説にはまっている。 昨年の10月に「オブジェクタム」という作品を読んだのがきっかけで大ファンになってしまった。あえてチープな表現を使ってみるが、これがなかなかにヤバい。 「ベルリンは晴れているか」で先の直木賞候補にもなった作家の…

何者にもなれない

【2017年7月3日】 週刊文春の連載コラム「私の読書日記」。 四人のライターさんが週替わりで担当して2、3冊分の書評を書いていくんですが、詩集からエッセイ、小説などジャンルを問わず紹介されていて、これがなかなか面白いのです。 触発されるような形で、…