聞き屋のたぬ吉

矛盾の総和が人生だ

ヘルメットを、かぶせてあげよう

昨日の中央線下り、ほぼ終電に近い車内で、乗客同士のトラブルが目の前で始まった。ガラの悪い若い男ふたり(たぶん少し酔っている)に、眼鏡にマスクのまじめそうな男の子が執拗に絡まれるという構図。ふたりと言っても騒いでいるのは片方だけで、もう片方…

【追記】模倣から始め、半歩先をねらい独創を

昨日、一昨日と名古屋に行ってきました。目的はナイモンで知り合ったM君とのリアルで、彼とはけっこう長いことメッセ(途中からLINEを交換した)でやり取りしていたこともあり、お互いイメージどおり、すんなりと馴染むことができました。 なんだかすご…

【小説】タピオカ禁止法(最終回)

タピオカワールドが爆破される、死傷者50人以上か 東京タピオカワールドはたしか先週末、渋谷区に期間限定でオープンした謎のテーマパークだった。チケットは予約開始と同時に即完売で、オープン初日にはつい最近タピオカ大使に任命されたという人気タレント…

【小説】タピオカ禁止法(10)

またか、という気持ちになったのと同時に、ひょっとするとあの事件の犯人はSなのではないかという考えが頭をよぎった。しかし証拠はどこにもなかった。 それに、こんなに簡単に手に入る(信用できるかどうかも怪しい)情報の断片だけで容疑者が割り出せるの…

【小説】タピオカ禁止法(9)

三時になりました、ニュースをお伝えします。今日昼過ぎ、歩行者天国で賑わう東京・秋葉原の駅近くの路上で、男が通行人をトラックで撥ねたあと、次々にサバイバルナイフで切りつけました。東京消防庁によりますと十六人がケガをし、このうち五人が心肺停止…

【今村夏子】「こちらあみ子」の世界観と、認識しない力強さ

八月の十日を過ぎたあたりから、日中の空気がガラリと変わった。正確には季節の変わり目と言えるくらい、温度とか湿度が一気に変化した。こんなに早く秋の気配を感じたのははじめてかもしれない。 例年にくらべると、自分にとって今年の夏は出かける頻度が高…

【小説】タピオカ禁止法(8)

「T・A」の検索結果のタイムラインには、他にもこれと似たような動画が複数上がっていて、翌日にはネットニュースにも取り上げられるほどだった。 関連記事では聞いたこともないような名前のコラムニストが、「これは言わばルサンチマン。今までさんざんや…

【小説】タピオカ禁止法(7)

結局あの日、俺はタピオカを飲まずに店をあとにした。なにかの本質を垣間見たような気がして、タピオカへの興味が一気に薄れてしまったのだ。 あれから二週間、今はもうタピオカを飲んでみたいという気持ちはまったくない。だが、やはりほんのわずか関心は残…

【小説】タピオカ禁止法(6)

俺は何かを言おうとして、一歩足を踏み出そうとした。しかし俺より先に二人のもとに向かう白く太い足があった。さっきまでDKに嗤われていた、あのオタクの足だった。 「私もレジでここに並べって言われました。レシートなんて持ってませんけど」 怒り狂う…

【小説】タピオカ禁止法(5)

列はさらに前進した。中二階の踊り場から後方を見上げると、さっきよりも人が増えているのが分かる。二階に達した列はそのまま三階へと折れ曲がり、もうどこが最後尾なのか、ここから確認することはできない。 前に立つ五十絡みの夫婦も同じように首を動かし…

【小説】タピオカ禁止法(4)

あらためて前方の列に視線をやると、客もいろいろといるのが見てとれる。 五十絡みの中年夫婦、私服のJK二人組、身長差がすごい二十代のカップル、鞄にアニメのキャラクターを大量にぶら下げたオタクっぽいオバサン、専門学校生風の男子三人組、子ども連れ…

【小説】タピオカ禁止法(3)

翌日、仕事を終えた俺が向かった先は、H駅前に先々月オープンしたばかりの「Kong cha(コンチャ)」というタピオカ屋だった。 昼休みにスマホで〈H駅 タピオカ〉と検索をかけたところ、サジェストでこの店の名前がトップに表示されていた。なんでもここは今…

【小説】タピオカ禁止法(2)

「はー、おっかし。ないない、ありえない、ありえなりかずきだわ」 彼女はひとたびスイッチが入ってしまうと、独特の声と表情になる。たとえばそれはタレントのYOUだとかELTの持田香織あたりに似た、周囲を巻き込むような破壊力のある笑い方だった。 油断し…

犀の角のようにただ独り歩め

少し前の話になるけど、ブログトップに自身のメールアドレスを載せたところ、ほうぼうから興味深いメールが届くようになった。 人間関係の愚痴や相談のほかに、僕の記事への質問や感想など内容は大小さまざまで、いろんな意味でとても勉強になっている。ただ…

【小説】タピオカ禁止法

「先ほどお電話した滝岡といいますが」 「滝岡さん、滝岡さん、えーっと、下のお名前もよろしいですか?」 「滝岡浩志です」 「はい、はい、えーっと、午前中にお電話されて?」 「ええ、そうです、商品の取り置きをお願いしてたんですが」 「そうですねえ、…

「トリプル」は流行するか

日付が変わって木曜の夜、帰宅すると着替えもせずにベッドに倒れこんでしまい、目が覚めたら23時30分だった。家に着いたのが19時過ぎだから、正味四時間ほど死んだように眠っていたことになる。 深い睡眠だった。とくに普段から眠りが浅い自分にとって、これ…

ノースエで過呼吸起こして爆死

ズン。ズン。と脳に響く重低音がヤバイ。さながら埼京線の満員電車。中に入ってすぐわたるくんに会えた。今日もめちゃくちゃかっこいいなぁ。 「たぬ吉さん!?」 「やぁ、会えたねー」 「奥のほうすごいから行っておいでー^^」 って同時にぐーっと背中を…

読書とか音楽、最近のこと

GW中に円城塔の「文字渦」(川端康成文学賞・日本SF大賞受賞作)が読みたくて本屋さんまで行ったはいいけど、値段を見て買うのをやめた。めちゃくちゃ面白そうだけど二千円は出せない……。仕方なく図書館で予約したら10人待ちだった。順番が回ってくるまでた…

痛みをともなう恋愛改革

机に飲みかけの炭酸飲料があった。その横には、刺身に使っていた醤油のミニボトルも置いてある。近所のスーパーでは半額の時間になると鰤の刺身が200円で買えるから、このところそれを目当てにせっせと通っている。 食事が終わり、炭酸飲料と醤油をまとめて…

瞬間的⬛️ックスセンス

きのうの午後、市議会議員選挙の投票に行ってきました。 数日前から街のいたるところで「クリーンな政治を!」とか「まっとうな政治を!」なんて演説が聞こえていたけど、熱っぽく語られるほど胡散臭く感じるのは何故でしょうか。 今回は特に支持する政党も…

沈黙は敗北ではない

役所の紹介で不定期に通っていた就労アシストの事業所が、この三月をもって閉鎖することになった。 この一年を振り返ってみると、自分の精神状態はかなり不安定だったように思う。会話の途中で泣き出してしまうことが何度かあったし、体調が悪いときには険の…

【SF小説】誰もいない部屋で

部屋の天井の四隅を見ると金縛りにあう、という話を思い出し、さっきから白い天井を眺めているのだが、その四隅がいっこうに見あたらない。の、ではなく、正確にはどれが四隅にあたるのかが分からなかった。 別段この部屋がデザイナーズマンションの類いで、…

桜前線とあいみょん

木曜日、家に遊びに来たT君にとんでもなくおいしい手土産をいただいてしまった。立川にあるRINGOというお店のアップルパイだ。 雨よけのためか、紙袋は半透明の赤いビニール袋で丁寧に包まれていた。りんごみたいな真っ赤な包装がなかなかおしゃれで、(絶対…

渋谷区にて

【2018年2月13日】 夜の7時過ぎ、渋谷区内の某所で座っていたら、いかにもセンター街代表といった感じの強烈なギャル二人組がやって来た。 ギャルA「え、なにこれウケんだけど!聞き屋だって!」 ギャルB「なんかクマいるし、やばい!」 こんばんは~ A「お兄さ…

消えるコンビニの多様性

【2018年2月1日】 中堅コンビニチェーンのスリーエフが1月30日をもって全店舗の営業を終了した。昨年の春頃だったか、単独店舗消滅の一報を聞いたときはひどく憂鬱な気分になったものだ。 僕の地元・神奈川発祥ということもあり、昔から何かと縁が深い店だっ…

過去記事の掘り起こし

大した内容じゃないけれど、下書きに残っていた記事を再掲載してみました。この二つは過去に一度公開していたものです。 tanukichi.hatenadiary.com tanukichi.hatenadiary.com 他にも公開せずに下書きになっていた記事が複数ありました。どれも短いものばか…

車に無関心な「助手席性」の話

相方が車を買い換えるらしいです。 今彼が乗っている車種は日産のエルグランドなんですが、以前からずっと「燃費が悪い」とぼやいていました。ハイオク仕様だそうで、1リットルあたり5キロ走るとか走らないとか。今のところ同じ日産の新型セレナを検討して…

【小説】ジャンキー・デビルローン

月に一度行くか行かないかという小さな中華料理屋がある。もともとは旦那が職場の人に教えてもらったというお店で、四十代くらいの夫婦が二人だけで経営していた。自宅から歩ける距離にないので、食べに行くときは必ず車を出してもらっている。 先週末、私た…

読書記録2019

純文学を中心に、日々更新していきます。 追記 その月に読んだ本の中で、とくに良かったものに★をつけることにしました`^ω^ 【1月】 ・村上龍「すべての男は消耗品である。最終巻」 ・村田沙耶香「きれいなシワの作り方」 ・高山羽根子「うどん キツネつ…

「書かない」という描き方

高山羽根子の小説にはまっている。 昨年の10月に「オブジェクタム」という作品を読んだのがきっかけで大ファンになってしまった。あえてチープな表現を使ってみるが、これがなかなかにヤバい。 「ベルリンは晴れているか」で先の直木賞候補にもなった作家の…